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さり気ない特技 (とある社会の片隅で)

9月とある夏の日。青い空。白い雲。そよぐ風。風鈴の涼しげな音が響く。何でもない夏の日の午後。永遠の昼下がりに、とある男がしゃがんで何事かに人生を賭けていた。

その男は隅の方で、背を向け、首を丸め、一心不乱に“何か”に没頭している。時折、手が小刻みに動く。時に素早く、そして時にゆっくりと。

ついさっきまで、まばらだったはずのその場所には、小学校の低学年以下の子供たちを中心に、多くの観衆が取り巻き、その男の一挙手一投足を、固唾を飲んで見守っていた。

時折、大きな歓声があがる。そのたびに、男はにこやかに振り返り、観衆に顔を向け、満足そうに頷いた。

そしてまた、一連の“あの動き”が始まった。

彼の持つお椀には、20匹ほどの金魚が、次の定住先を求めてひしめき合っていた。

どうやら彼は金魚すくいのプロらしい。だが、名声は求めていない。ゆえに無名だ。

彼が笑顔で言った

“なぜ、金魚をすくうかですって?”

“そこに金魚がいるからですよ。”

ただの金魚すくいオタクなのかも知れない。

コツがあるらしい。“教えてほしい”と頼んでみたが、企業秘密らしく、さり気なく断られた。しかし彼も鬼ではない。一つだけヒントをくれた。“四隅をうまく使うんですよ。”と。

しばらく、遠くを見つめた後、何を思ったのか、彼はさらに私に告げた。“持ち方がね・・・、違うんですよ・・・。”

彼のお椀の中には、もう何匹の金魚が吸い込まれたであろうか。そんな金魚たちに、男の慈愛の目が注がれる。

その時、彼の奮闘ぶりを見ていた店主が、さり気なく言った。「あのねー、何匹取ってもいいけどさー、持って帰れるのは3匹までだから。」

とある男の孤軍奮闘は続く。

(所)

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